『仮面ライダー鎧武』について
今回は「仮面ライダー」について語ろうと思う。
第一弾として『仮面ライダー鎧武』に語る。
仮面ライダー鎧武/ガイム | 仮面ライダーWEB【公式】|東映 (kamen-rider-official.com)
「仮面ライダーは正義の味方」
それは当たり前のことのように認識されていると思う。
昨今の仮面ライダーには悪のライダー、所謂「ダークライダー」も存在するが、
主人公のライダーが正義のために戦うということは何も変わっていない。
しかし、本作品ではもちろんその「正義のため」というのも戦う理由には入っているが、
当初は「自分のチームを守るため」「自分のチームを高めるため」に戦う。
チームとは何なのか、その説明から始める必要があるだろう。
そこでは『ビートライダーズ』と呼ばれるダンスチーム達がステージをめぐって争っていた。
対戦内容は『インベスゲーム』というもの。『ロックシード』と呼ばれる特別な錠前を用いると『インベス』と呼ばれるなどの生物(怪物)が異世界から召喚される。
その『インベス』を互いに戦わせることでステージの所有権を得る。
ステージ争いに負け、ダンスチームのランキングが最下位となった「チーム鎧武」に救済として『戦極ドライバー』と呼ばれるベルトを渡された。それを使用すると人は『アーマードライダー(本作品における仮面ライダーの名称)』になれる。
そのおかげで「チーム鎧武」はランキング上位となれたが、他のチームも同様に『戦極ドライバー』を手にし、『アーマードライダー』へと変身するようになった。
そして『インベスゲーム』は『インベス』を用いたゲームから『戦極ドライバー』を用いて人が変身する『アーマードライダー』での戦いへと変化していった。
言いたいことが分かっただろうか。
本作品では仮面ライダーが「娯楽のために用いられる」という斬新な描き方をしているのだ。
インベスゲームというダンスチームによるステージ争い、その手段として仮面ライダーとなり、ライダー同士で戦っているのである。
更に言えば、本作で「怪人」に相当する「インベス」を人が使役出来るのだ。
もちろん、当人たちにとってこの「インベスゲーム」は真剣である。
彼ら彼女らは本気でダンスに取り組んでおり、そのために戦っている。
しかし、他作品の「仮面ライダー」と比べると、当初(ライダーになったきっかけ)が全く異なるものである。(本作でも主人公鎧武の初変身だけは怪人に襲われて、であったが)
しかし、話としては中々伏線が多い。
そもそも「インベス」とは何なのか。
誰が「インベスゲーム」なんて流行らせたのか。
インベスが生息する森の謎は?
ヒロインそっくりの金髪の少女の正体は?
ユグドラシルの目的とは?
そんな謎を主人公たちが少しずつ解き明かしながら物語が進んでいくのである。
そしてこの作品の主人公である葛葉 紘汰(かずらば こうた)はとにかく優しい人間である。
愚かしいほどの人を信じ、愚かしいほどに自己を犠牲にする。
他人を守るためなら自分自身のことを気にかけないのだ。
その身を滅ぼそうとも他人を優先する姿は、ある種異常とすら思える。
もちろん、その他の仮面ライダー達も命がけで人を守っているという部分では同じだが。
また、今作ではその他の人間模様に関しても中々好感が持てる。
駆紋 戒斗(くもん かいと)の『強さ』に対する拘り。
呉島 光実(くれしま みつざね)という青年の動向。
全てこの物語を彩る要素になっている。
ネタバレにならないように説明するのは難しい。
しかしながら、大変面白い作品なのでぜひ見て頂けたらと思う。